“昭和は遠くなりにけり”


『降る雪や 明治は遠くなりにけり』中村草田男(1901~1983)哀愁なのか憂いなのかメランコリックなのか、人それぞれに古き良き時代を懐かしく思い、ふと我に返り、感慨に浸るのです。  明治の俳人の有名な句でありますが、この句を詠んだのは1931年(昭和6年)彼が30才の時でした。明治と昭和の間に「大正」があり、まさに今、新しい元号を迎えるにあたって平成を間に挟み、私には“降る雪や 昭和は遠くなりにけり”の心持ちになるのです。私は若かりし頃、大きな葬儀の警備責任者になることが度々ありました。 昭和を代表する歌手、美空ひばりさん、若者のカリスマ 尾崎豊さん、そして何と言っても新宿御苑で執り行われた昭和天皇の大喪の礼の為の準備警備と一般公開警備(合計55日間)。いずれも私が30歳代後半の警備会社の頃でした。昭和を代表する方々との別れ、その頃の自分を今思い出すと、哀愁なのか憂いなのか、メランコリックなのか・・30年の時を刻み続ける振り子時計のような面持ちになるのです。

ふと現実にもどり、次の元号に思いを馳せれば、そうだ日本古来の元号と言う時代のくくりが有るからこそ、そこに哀愁を生みだしてくれていたのだと気付きます。西暦ではこのような感慨に耽ることも、時代を振り返ることも又違う種類のものになるのでないだろうかと思います。日本古来の元号が樹木の年輪のような役目を果たし、歴史の重みをさらに際立てたせてくれていることに感謝しながら新元号の発表を心待ちにしております。

平成31年2月5日
株式会社 セ ク ダ ム
代表取締役 竹 下 年 成